みどりの香りの効果
「みどりの香り」には疲労・ストレスを解消し、脳の働きを活性化させる効果があることが、大阪市立大学 渡辺恭良先生らにより確認されています。
サル、マウス、ヒトとそれぞれの実験でも、「みどりの香り」には作業能力の低下を抑えるはたらきがあると科学的に証明されました。
サルでの実験
大阪市立大学 渡辺恭良先生らが行った実験です。
みどりの香りを嗅がせたサルとそうでないサルの両方に、ボタンを押し続ける単純作業をさせたところ、香りを嗅がなかったサルは徐々にボタンを押す反応時間が長くなり、作業能力が低下しました。
反対に香りを嗅がせたサルは、長時間続けても作業能力の低下はあまりみられなかったのです。
マウスでの実験
マウスの強制水泳の実験では、泳がせた後のマウスに「みどりの香り」を嗅がせると、運動量がさらに3倍に増えたという結果も発表されています。
またマウスの実験では「みどりの香り」は、疲れると食欲をなくす「視床下部」でも働くこともわかってきました。
TV番組でも効果を立証
文部科学省の「疲労プロジェクト」協力のもと、テレビの生活情報番組でヒトを対象とした実験をしました。
実験内容はみどりの香りを仕込んだマスクをしているチームと、していないチームにわかれ、画面に出るランダムな数字を順に押していくもの。
数字はボタンをひとつ押すごとに配置が変わります。単純ですが、実験は3時間もあり、集中力が必要な作業です。
マスクをしていないチームは20分を過ぎたあたりから疲れが見え始め、徐々に反応速度は落ちていきました。被験者は"数字は見えているのにどれを押せばいいのか判断できない""しまいにはどの数字をさがしているのかさえわからなくなった"と言っています。
一方、マスクをしていたチームは速度が落ちることもなく、3時間の長時間でも集中力が欠けることもありませんでした。
マスクに仕込んだ「みどりの香り」は、香りがするかどうかくらいの薄いもの。それでも脳の集中力をつかさどる部分を活発にし、能力を底上げする効果があったわけです。
試しにほかの香りでも実験をしたのですが、効果があったのはこの「みどりの香り」のみ。心地よい香りだからといって疲れが取れるというわけではないようです。
これらの実験により「みどりの香り」には、疲労回復の効果があることが明らかにされました。これまでも観葉植物や森林浴など緑のリラックス効果は云われてきましたが、科学的に証明されたことは画期的です。
疲労回復以外の効用
「みどりの香り」の効果は疲労回復だけではなく、次の効果があることが実証されています。
- ストレスの軽減
- 快眠効果
- 免疫低下の抑制
- 血中コレステロール濃度の低下
- ダイエット効果
「みどりの香り」は、3つの生態調節系「免疫系・内分泌系・自律神経系」すべてに対し、効果があるとされています。
さらに応用効果として、更年期障害解消や頭の回転・記憶力のアップなどもあげられています。
また、「みどりの香り」には殺菌作用と薬剤耐性があることにも注目です。
食中毒の原因にもなる、病原性大腸菌O ー 157や黄色ブドウ球菌、その耐性菌、MRSA、サルモネラ菌へは、抗生物質の10〜100倍という高い殺菌作用があります。
なぜ抗生物質よりも「みどりの香り」の方が高い効果があるのか、現段階ではまだ研究が進められているところです。